灰色の空

あした晴天なら

ホームシック

死にたいって思うたび

頭にちらつく君の顔で

涙が止まらない

諦めようと思うたび

頑張ろうって君との約束が

容赦なく首を絞める

それが凶器だと思わせたくなくて

何でもないよ、と言いたいのに

そんな言葉すら言うこともできない

死にたい原因から無理矢理逃げるふりをする

頭が痛む、

泣きそうになる

周りの優しい声と、関心のない視線

その狭間で蹲って

帰りたい、と

泣いてしまう。

すべてを投げ出したくて、

誰かの不幸も涙も、本当のところ関係がないから親身になって聞けただけで優しいわけじゃないし、太平洋のような広い心を持って誰とも接せることが出来たのも何処か諦観が強く根付いていたからだった。

向かってくる電車の顔を見て、過ぎ去って行くまでを永遠と繰り返す。

なんて馬鹿な日々だろう、

"飛び込んでしまえば何もかも投げ出せるのに"

そう思っては過ぎた電車から遅れてやってくる風に涙を飛ばされる

ああ、

なんでそれが出来ないんだろう、

なんで生きようとしているんだろう。

君に、

私が見てきたのは、いつも寂しい背中。

私が気にかけてきたのは、いつも悲しい表情。

私が救いたかったのは、いつもの笑顔。

 

私が誰かの為に泣いてしまったのは、君が初めて。

 

私が何度目かの涙を流した後に君が、

「私、辞めないことにしたの。だから、一緒に頑張ろうよ」

そう言って、手を握ってくれた

その時、君の顔が一瞬いつもの笑顔になった。

それが嬉しくて嬉しくて、また泣いてしまった。

「ありがとうね」

私の顔を覗き込む君は楽しそうだった。

 

 

日が過ぎて君はもう随分と以前の明るい表情を取り戻したようだった。

君が笑わなくなったあの日から、どんどん痩せていく君と、昨日の夕飯は何を食べて、つい食べ過ぎてしまったんだとか、ダイエットは2日も経たずに諦めたのだとか、話をしては2人で笑い転げることも出来なかったが、

「聞いて、昨日ね。うな重食べたの」

なんて私の方に振り返った君がそうやって笑うから思わず驚いた顔を見せてしまって、「元気ない?」なんて困らせてしまった。

「ううん、またリバウンドだな〜??」

いつも通り笑ってあげられただろうか

良かった。本当に、本当に良かった。

 

「もういいよ〜」

 

ケラケラと楽しそうな君

それだけで、良い

 

「うん、もういいよ」

 

口に出てしまう。抑えられない涙が落ちてくる。

君は驚いて、それから、ちょっぴり眉を下げて私の手を握る。

 

「ありがとう、」

 

私は、救ってあげられたんだろうか。

 

いや、君が自分の力で這い上がってきたんだろう

君はいつだって本当は強い人なんだ

 

その言葉に救われたのは、私の方だった。

だから、その意味も込めて君に、

 

「どういたしまして」

 

最適解

私には、他の人より少しだけ力がある

それは握力とか物理的なものじゃなくて、要は"器用"だとか言われるもの

昔からそう言われてきたし、自分でも何となくは理解していた

他の人より、柔軟に対応できるってことなんだろうなって。

ただそれは、歳を重ねるごとに疎まれるようになった

"何でも簡単に出来ちゃって凄い、羨ましい"

最初はみんな褒めてくれた

けど、凄く努力したことも、その括りにされてしまった

"生まれた時からの差だよね、比べられたくない"

そう言われてしまうと、どうしていいかわからなかった

何もかも不器用で、"難しいね"とへらりと笑っている人に"それな、出来るわけないよね"と沢山の人が寄っていった

器用って、良いことないな。

周りの目を気にするたびに、手元が狂った

不器用で、何も出来ない方が愛されている

しかし、必ずそうであるとも限らないことを私は知っていた

だからこそ、どうしていいのかわからなかった、口をどう開けばいいのか、恐ろしくなった

器用である私は、考えた。

 

"ぶきっちょ!仕方ないなあ"

少し経って、必要以上に自分の持つ力を出すことをしない世渡りの仕方を学んだ

絵だって、学だって、運動だって、歌だって、なんだって。

周りと同じくらいなら、そうであるなら、きっと。

 

"何が得意なの?"

 

「何だろう?不器用だからなあ。」

 

へらりと笑えば、笑ってくれた

努力だって何だって自分以外には関係ない

柔軟に対応出来るって、こういうこと

 

 

私には、他の人より少しだけ力がある。

すなわち、私は器用である。

絆創膏

大きな駅の階段で、何事もない日々の中で、

私は大きく転倒しました。

 

とても、恥ずかしかったです。

後ろに知人がいたかもしれないと咄嗟に頭に過ぎり、さあっと血が降りていくのを感じました。

それを振り返る勇気もなく、電車に逃げるように乗るのですが心臓のばくばくは止まりません。

世界では、大衆の中で私が転ぼうが、それは変わりなく日常の一部なのでしょう。

だから私は大衆の中で1人、

顔を真っ赤にして、平常を装うのです。

友達

「大丈夫だよ」

へら、と間抜けな笑顔を見せる友人が私には耐えられないほど悲しく見えた
何で大丈夫なの、と口を開きかけて、彼女がにこりと笑うから何も出なかった
奥歯がギシ、と音を立てた私の酷い顔を見て「優しいねぇ」なんて。
 
「ばか」
 
そう言ってやることしかできなくて。
 
己の無力さに一生の絶望を知って、行き場のない手に涙が落ちていく。
そんな醜態を晒す私に何を感じたのだろう
 
「そうやって泣いてくれるから、私充分だよ」
 
ぽた、とまるで雨が落ちたかのように一粒だけ頰を伝った君の初めての涙に、
私は彼女を抱きしめるしか術がなかったのだ。

灰色の空

例えば、あなたを深く理解できたとして私に何ができるのかというと、それは意外と多くありません。それは、空が何故青いのかを理解するのと大した差はないからです。

計り知れない存在を知って、飛んでみたいだとか触ってみたいだとか。その現実逃避の下から見上げて、眺めるだけ憧れるだけ。

いくら手を伸ばしたところで空へ手が届くわけではなくて、何故あなたが悲しいのか分かっても、何故空が青いのか理解しても、私に何が出来るわけでもないのです。
 
なので、たとえ空が灰色だったとしても
あなたが泣き止む理由にはなりません。